④効果的な水分補給とは

一昔前の日本では、運動中に水分を摂ってはいけない、ということが通説のように言われていました。しかし、水分を摂らずにいると、脱水やミネラル不足に伴い、熱中症を促すことになるのはこれまで読んできたみなさんはお分かりになったかと思います。 最終回の今回は、熱中症の予防に効果的な水分補給の方法についてお伝えします。

‐‐‐■私たちの体内の水は純粋な水なのか?‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
私たち人間の身体を構成する成分のうち、おおよそ60%は水分でできていますが、この水分は、純粋な水なのでしょうか? 答えは、“No”で、人間の身体の水は、塩分濃度が0.9%の体液と呼ばれる水分で満たされています。

‐‐‐■効果的な飲み物とは‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
体液がただの水分ではないことを考慮すると、ただの水よりもミネラル(塩分など)が入っているもののほうが身体には必要であり、その濃度が0.1~0.2%程度だと吸収しやすいといわれています。これがミネラル入りの水分が勧められる理由です。 しかし、ミネラル分の濃度が濃すぎる飲み物は、吸収する際に薄めるために身体の水を使ってしまい、薄すぎる飲み物ではミネラル不足の問題が発生してしまいます。 さらに、冷たい飲み物(5~15℃程度)を飲むことで身体への吸収が高まることもわかっています。一方で、冷たすぎる物は胃腸に負担を与え、暖かい物は身体を冷やす効果が低いため、望ましくありません。 つまり、まとめると、適度にミネラル分が入っている冷えた飲み物(スポーツドリンクなど)が効果的ということです。

‐‐‐■どのような飲み方がいいのか?‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
暑くてのどが渇くと、一気に飲みたくなりますが、これも最適な水分摂取とは言えません。 一気飲みでは、飲んだ水分の大半は吸収されずに尿として出てしまいます。 また、のどが渇いた時点では、既に身体に水分が足りていない状態です。 そのため、のどが渇く前からこまめに水分を摂ることが必要です。

‐‐‐■まとめ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
効果的な水分摂取のポイントとして、
1.濃すぎない(0.1~0.2%程度)のミネラルが入っている
2.よく冷えている(5~15℃)
3.こまめに分けて摂取
の3つがあります

今月の4回の記事を通して、熱中症に関する基礎知識の習得をしてもらいました。 まずは自分の熱中症を予防するとともに、家族や友人の熱中症にも注意をしていきましょう。 暑い夏が少しでも健康で快適な時間となりますことを祈っております。

①熱中症とは

②熱中症の具体的な予防と対策

③熱中症の対処

中村智洋
中村智洋