ジュニア(小学校期)編~身体リテラシーの育成 Vol.7
【著者】鈴木タケル(日本プロゴルフ協会会員)、
一川大輔 (東洋大学 理工学部生体医工学科)
【監修】坂井昭彦(The 蔵ssic)
●テーマ:ジュニア世代における食事面や睡眠の重要性に関する事項
家庭と学校での食育の重要性は誰しもが認識しているところではあるが、朝食を正しく摂取しないと不定愁訴(原因がわからない不快感)が生じることはよく知られていない。小学校の児童を対象に朝食の食べる頻度と不定愁訴との関係性を調査した結果では、毎日朝食をほとんど食べないと回答した子供(しばしば~たまにと回答)の約60%において午前中調子が悪いことを報告している(図1)。また同様の傾向は1週間に4~5回の層と2~3日の層でも同様の傾向がみられる。つまり、毎日平日は朝食を食べることが健全な学校生活を送る上での前提条件といえよう。
図1. 児童における朝食を摂取する頻度と午前中の調子との関係性(引用1より改変)
児童期では学校給食があるが、週末ではどのような食生活の傾向があるのであろうか?学校給食がある日(平日)とない日(週末)では、給食がない日の方が各栄養素の充足率が悪くなることが報告されている(図2)。特にカルシウムやビタミンなどの栄養素の充足率が低く、朝食の欠食も予想される。両親も多忙な場合は、アスリートがよく行うトレーニング中の栄養補給のように、温める必要のないシリアルやドライフルーツ、ナッツなどはタンパク質やビタミン、ミネラルを補充する上で有益であるため、保存食としても多くストックしておくことをオススメしたい。
図2. 学校給食の有無による栄養摂取状況 (引用1より改変)
睡眠に関しては、現代ではスマートウォッチなどを利用すれば、自分自身の最適な睡眠サイクル確認出来るようになっている。しかしながら、学校のスケジュールや仕事のスケジュールにより、毎日同じようなタイミングで就寝し起床することはなかなか難しい。そこでNAP(short period of sleep)を紹介したい。NAPとは日本語でいうと午睡(短期睡眠)のことを指す。午睡の効果は脳の疲労回復はもちろんのこと、特に心臓病や高血圧症に関与する心臓血管への負担を軽減することが数多く報告されている(引用2)。なお、NAPの推奨される時間は20分程度とし、寝る姿勢は机でミニ枕を利用することや、ソファーで座って寝る程度とする。またNAPが長くなり過ぎないようアラーム等を利用することや、その寝起きの悪さを防ぐには、NAPの前にコーヒーなどのカフェインを摂取してから寝ることとも推奨されている。企業レベルや進学校でもNAPを取り入れる試みは多く報道されている。
ジュニアゴルファーを含むスポーツ選手、学校での授業以外にも様々なスケジュールをこなす子供たちに対してより良い運動効果や学習効果を望むのであれば、指導者や保護者は短時間で行えるNAPや栄養補給の方法をうまく取り入れることを考えていきたい。
引用1)麻見直美, 塚原典子 (2015), 好きになる栄養学: 食生活の大切さを見直そう. 講談社
引用2)National sleep foundation. (2019).